2015年6月17日水曜日

ファブリシオ・ヴェウドゥムのこと

6月13日、UFC新チャンピオンとなったファブリシオ・ヴェウドゥムのこと。
こういう裏話的なことは書かないのだが、もうワタシも業界人でもないので、たまには。

昔、ミルコのマネジャーをやっていた今井さんから、「誰か寝技の強い選手を知らない?」と聞かれた。
当時、ワタシはフリーのライター・編集者として『柔術王』(2004年3月)というムックをつくったばかり。ブラジリアン柔術の黒帯重量級世界王者であるヴェウドゥムの名を、今井さんに挙げてみた。
ムンジアル(世界選手権)最高3位のノゲイラよりも実績的には上だし、重量級の中でもノゲイラのような手足の長さと柔らかい寝技を持つタイプがよいと思ったからだ。
その時のヴェウドゥムは、マイナーなMMAイベントに出始めてはいたものの、まだ柔術やアブダビコンバットで頂点を極めていた時期にあって、本格的にMMAに取り組む前であった。

今井さんによると、それまでミルコの寝技パートナーとして連れてきた人間が、ことごとく役立たなかった模様。
そのうちの一人は、日本とも縁のあったオランダ人ファイターだったが、ミルコを極めることはできなかったそうだ。
ワタシが、ヴェウドゥムの話をしたとき、「今までみんなミルコには……」とやや懐疑的だったが、今井さんはブラジリアン柔術の「世界」を知らなかった。
「そんな奴らと、ブラジリアン柔術の本当のトップを比べんなよ…」と思ったことは覚えている。

そしたら、今井さんは本当にミルコのためにヴェウドゥムを呼んだので、驚いた。
その決断と行動の速さに、すごいと思った。

実際、今までのスパーリングパートナーとは比べ物にならないほど、ヴェウドゥムは優秀だった。当たり前だが。そのことに今井さんは喜んでいた。
「ミルコのスパーリングパートナー」を経て、2005年PRIDE初参戦したヴェウドゥムのその後は、ファン御承知の通り。

今井さんからは、一時期、何かと連絡をくれたり相談を受けたりしていた(基本的に、業界人とは距離を置くワタシにとっては珍しい)。
たしかレオジーニョをMMAデビューさせるという話も、当時出ていた。

その後、ヴェウドゥムには「ガチ!マガジン」か何かで取材し、じつはあなたのことをスパーリングパートナーに薦めて……、と明かして、盛り上がったこともあった。

ミルコのスパーリングパートナーになって10年か。
人にはいろんな成功の仕方があるものである。■

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