2014年2月8日土曜日

怒りをうたえ

ぎょえー、一年ぶりの更新か。

よく柔術で「力を抜け」なんて言われるけれども、ワタシは力を抜くことよりも、力が相手にちゃんと伝わっているかどうかのほうが遥かに重要だと思っていて。
それは持論で、話せば長くなるので、ここでは省略するけれども。
いや、究極的には同じことなんだと思うけれども、視点の置き方はやはり違いますよね。

ワタシは出版の仕事をしているが、著者とタイトルをはじめカバー周りで意見が異なることは、同業者ならよくあると思う。
著者は、自分の書いた内容や考えを、そのままカバー周りに反映させたがる。
編集者は、それが相手(一般読者、想定読者)が手に取ってどう感じるか、そこにいったん意識を移して、そこからフィードバックして考える。
どう手に取らせるか、興味をひかせるか、そこから考える。
上の「力」の話と、少し似てますね。
伝えるってこと。

なんでこんなこと急に言うのかと思ったら、今日amazonに注文していた『てっちゃん ハンセン病に感謝した詩人』が届いていて。
ハンセン病の詩人・故桜井哲夫さんのフォトドキュメンタリー。
昔、この人のことが書かれたノンフィクション『しがまっこ溶けた』を読み、とんでもない衝撃と感動を覚えたのだが、この本を貸してくれた友人のタカコちゃんになんか怒ったのだ。
こんないい本なのに、このカバー周りはなんだ、この帯のキャッチはなんだ、人に手を取らせるということをこの編集者はもっと真剣に考えるべきだった、みたいな。
目が点になっていたが、最後は共感してくれたような。

「怒り」といえば、実は(というほど意外でもないか)ワタシは怒りっぽいとこがある。
そのことは自分の中の一つのテーマであった。。
なので、このたびシステマの北川貴英さんに怒りをテーマにした本を書いてもらったのだが、それは自分が読みたいものであり、学びたいものでもあった。

このブログを書こうと思って、急に思い出した。
『怒りの方法』という本について、八年前、こんな書評を書いていた。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20060605/103618/?rt=nocnt
〆の言葉は、少し大げさに書いた。ほんとです(笑)。
まあずっと自分にとってのテーマだった、という一つの証ですな。

なので、先週北川さんの出版記念イベントでの、中井祐樹さんの言葉のいくつかが胸を離れない。
詳しいことは書きません。
しかし、あの底抜けのリベラリズム、ぱねえと心底思ったのである。
中井祐樹、恐るべし。
そんな中井さんの本も製作中です。お楽しみに!